ちょっと、何事──────
ドクドクっと再び心臓が激しく脈打って。
それに伴いぼたぼた落ちていく鼻血を、後ろから回された利人の左手が受け止めた。
「お前ね……興奮しすぎ」
「っ、ごめ、なさい」
「うん。大人しくベッド戻って」
後ろからの圧により、ベッドへ帰還したあたし。
座ろうとすると自然と腕は解かれた──────かと思いきや。
「っ、え」
すとん、と先に腰をおろしたのは利人のほう。
「ほら、座れ」
ティッシュで手を拭きながら、そんなことを言う。
「どいてくれないと無理なんだけど……」
「だから。ここ座れって」
我が物顔で座ったベッドの上。
開いた脚のあいだをポンと叩いてみせる利人。
このあいだに座れってこと!?
夢にまで見た“ベッドの上で後ろからぎゅー”のシチュエーションが今、叶おうとしている……っ。



