あたし、耳元で囁かれるのにつくづく弱いかも。
「ねえなんの冗談?」
「逆に聞くけどお前が俺の役に立ちたい言ってたのは冗談だったの?」
「か、会話噛み合ってないしっ……」
やーん、ほんとにどうしちゃったの利人。
ここまで来ると、あたしの都合のいい夢なんじゃないかって気がしてくる。
心臓、ドンドン言ってるし。
壊れないか心配なんだけど。
「お、風呂は、まだ、ちょっと心配というか……」
「心配?」
見られちゃうわけだし、利人のカラダを、生で見ちゃうわけだし────
うっかり想像した、その直後。
目と目の間あたりで、熱いものがドクドクっと脈打って。
──────え?
鼻に、少しの違和感。
指先を当ててみてびっくり。
真っ赤に染ま………
「ちょ、お前なに……っ」
目をまんまるにした利人が、即座にあたしの顔の下に手をかざした。
ようやく、状況を把握した。



