ぽかんとしてるうちに利人は出ていってしまった。
扉を見つめながら、時間差で心臓がドクドク動き出す。
間違いない。
利人、今なゆの部屋に泊めてって言った。
あたしの家じゃなくて、あたしの部屋⁉
「べ、ベッド1つしかないよ……いいのっ?」
扉に話しかけても、当然返事は帰ってくるわけもなく。
しばらく放心したのち、どうしようと部屋の中を宛もなくうろうろする。
利人の家は道路挟んで隣だから、あと十数分もすれば現れるかもしれない。
どうしよう、落ち着かない!
利人に泊めてもらうのと、利人が泊まりにくるのはワケが違う。なんかよくわかんないけど、意識するベクトルが違う気がする。
お客さん用の部屋を貸してそこに寝てもらうこともできるけど、それじゃあもったいない気がするし……。
意識しまくりで眠れそうにないけど、今日、金曜日だしね。
ちょっとくらい眠れなくったっていいよ。