ぽかんとしてるうちに利人は出ていってしまった。
扉を見つめながら、時間差で心臓がバクンバクンと暴れはじめる。
間違いない。
利人、今、泊めてって言った。
あたしの家じゃなくて……あたしの“部屋”!?
「ベッド1つしかないよ……? いいのっ?」
扉に話しかけても、当然、返事は帰ってくるわけもなく。
しばらく放心したのち、どうしようと部屋の中をあてもなくうろうろする。
利人の家は道路をはさんで隣の隣の隣だから、あと三十分も経たないうちに現れるかもしれない。
利人に泊めてもらうのと、利人が泊まりにくるのとじゃ、またワケが違う。
でも、今日は金曜日だから。
ちょっとくらい眠れなくったって……いいかもしれない。



