あたしの背中をもてあそぶ手は止まらなかった。
その指先が輪郭をたどりながら太ももに到達しようとしたとき、もういよいよダメだと思って。
ようやく「ごめんなさい」を口にしかけたときには涙目になってた。
そんなあたしを見て悪魔な生徒会長が楽しそうに笑う。
「聞こえなかったな、もっかい言って」
「っ、そんなわけないっ、ちゃんと言った……!」
「最後まではっきり言わないとわかんないよ。ほら、トラえもん一時停止しといてやるから」
トラえもんどころじゃないよ、バカっ……!
「ぅ……、忘れ物してごめんなさい……もう、しません……他の人から借りません……」
諦めモードでもう一度謝る。
そしたらどうしたことか。
「ん、いい子」
おっきな手が、頭にポンと落ちてきて、
そして、やさしー手つきでナデナデ。
背中に集中してた意識が、今度は頭に移動してくる。
「こっちのが言うこと聞きそうだね、お前。次から言いつけ破ったらこれでいこうかな」
おとなしく撫でられてるあたしを見下ろす目は、悔しいほどに楽しげだった。



