俺の役に立ちたいんでしょ?みたいな、試す目つきで見つめられる。何も言えない。
「いいかげん映画に集中したらどうなんですかね」
「しゅ、集中できなくさせてるのはどこの誰なのっ?」
「うるさいな。今ドラムちゃんが喋ってるのに」
シー、と。
人差し指を唇に当てる仕草は、あたしを子ども扱いしてるとしか思えないけど。
色っぽいのも事実で……とにかく心臓にわるい。
利人がわずかに姿勢を変えるたびにドキッとなるんだもん。
「もうちょっと離れてもらったらあたしも集中できるんだけど……」
「だから、俺寒いって言ってんじゃん」
「ん、……ひゃ、あ」
スーッと。背中を縦方向になぞられてヘンにうわずった声が漏れてしまった。
「斉藤くんにはくっついてたのに」
「んんっ、くすぐった……りひと、やめて……っ」
「あいつにできて俺にできないわけないよね」
口調は煽り気味。
背中を撫でる手つきは、不規則に、いったりきたり。
なんか……これ……だんだんと……。



