1時間バスに揺られ、俺たちはオリエンテーション合宿が行われる山に着いた。
「山だー!」
綺麗な青空が見える中、両手を上げて叫ぶ奈緒。
「まだ涼しいから良かったな」
「確かに」
「新くんも蓮都もテンション低くない?」
山に思い入れもない俺たちは淡々と喋っていた。そんな俺たちを覗き込んで奈緒は聞いてくる。
「まぁ...」
「香坂さんは山好き?」
新からの急な質問に驚きつつも香坂さんはすぐに答えた。
「うん...好き」
「やっぱ山良いよねー」
奈緒は香坂さんに抱きつき喜ぶ。香坂さんは戸惑いつつ嬉しそうに微笑んだ。
そのまま2人は楽しそうに前へ進んでいき、見えなくなってしまった。
「...元気だな」
「まぁ奈緒ちゃんらしいっちゃらしいよね」
「まぁな」
呆れつつ、いつもと変わらない姿に安心感を覚えた。
俺たちは速度を変えることもなくゆっくり山道を登っていった。
そして宿舎につき、皆でご飯を食べた。楽しく話しながら過ごすとあっという間に夜になった。