奈緒と真白先輩が出掛ける日曜日が訪れた。今頃2人で楽しそうに話してるのだろうか...。そんなことばかり気になってしまう俺は気分を変えるため外に出ることにした。
木々が並ぶ噴水のある広場に着く。涼しい風が吹き抜けるこの場所は心地よくて好きだった。木を眺めながら歩いていると誰かにぶつかった。
「あ、すみません」
「いえ、こちらこそすみませ...」
そこにいたのはカメラを持った香坂さんだった。
「香坂さん?」
「天樹くん...!?」
「偶然だね。一人?」
「うん。いい景色の場所ないかなって...。天樹くんは?」
「俺は何となく...かな」
「ふーん...?」
俺が一人でいる理由は分からないままだろう。しかし香坂さんはそれ以上聞いてくることはなかった。
「いつもこんな風に歩きながら撮ってるの?」
「うん。木とか鳥とか撮りたいなって思うもの探して撮ってるよ」
そう言って香坂さんはカメラを木に向けて写真を撮る。
「こんな感じ」
見せてくれた写真は葉っぱの間から光が差し込むとても綺麗なものだった。
「スゴく綺麗だね」
「嬉しいな、ありがとう」
俺は香坂さんが撮る綺麗な景色を見たいと思い、写真を撮る様子を見ることにした。