365日のアルバム

 今のうちに家へ帰ろう。
 明日はフィルムを現像し、明後日はアルバムを完成させて――。

“それから?”

 それから、は、やっぱり何も思いつかない。
 これだけ撮っても、君は写らないんだ。
 どうしてだろうな。

 こんなことなら、無理やりにでも君を撮っておけばよかった。

 もう一度、最初からアルバムを見たい。
 君だけがいないアルバムを。

 どうせまたひどく降るんだろうと、空を一瞥(いちべつ)したボクは、足を早めて山を下った。