ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~

「お疲れ様朋葉。無事に終わったな、ありがとう」


迫田さんに連れられてきたのはヒルズ内に建つ高級マンション。

玄関を入ると広いリビングに階段があり、マンションなのに2階建てだ。


着ていた上着とネクタイををソファーに放り投げた迫田さんは、そのままひとつの部屋のドアまで行くと振り返って閉じられたそれぞれの扉を指差し順番に説明しはじめた。

「全部で4部屋ある。
2階に2部屋と1階に2部屋。2階のあの部屋は俺が書斎にするから1階のあそこが朋葉の部屋だ。

寝室は…2階のあそこだ。

ばあちゃんがご丁寧にキングサイズのベッドをいれてくれたんだが…」

そこで言葉を区切り、ちらりと私の顔を見て軽く咳払いすると


「悪いがあの寝室は俺が使う。広いし希望があれば一緒に使ってもかまわないが、ただしその時はなにもしない保証はない。いくらふりとはいえ俺も男だからな。まぁキングサイズだし、俺はいつでも歓迎だがな」

そういって背を向けていた扉を後ろ手に開けると


「ゲストルームだ。
バス、トイレ付きの寝室だ。
この部屋にだけ内側から鍵が閉まる。
朋葉は寝室にここを使ってくれ。

今日は疲れたな。もう、休もう。

おやすみ、朋葉」

脱ぎ捨てた上着を手にとり、階段を登り始めた迫田さんの背中に慌てて叫んだ。

「おやすみなさい、大知さん…」

迫田さんは、一瞬立ち止まったが、片手を上げて振り向くことなくその姿は2階に消えていき、扉が閉まる音をきいてから、私も与えられた部屋に滑り込んでそっと扉を閉めた。