ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~

目を細めて笑う迫田さんと鏡の中で見つめ合う。

「くっくっ、なんだよ、鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔して。
俺がカッコいいからみとれたか?」

「…っ!」

図星を指されて頬が一瞬で熱をもつ。

そんな私の顔はもちろん真っ赤で。


言い当てられたのが悔しくて恥ずかしくて、目をそらせて噛みついた。

「だっ黙って新婦の控え室に入って来るなんて失礼です!」


「ん?
心外だな。ちゃんとノックしたぞ。顔をしかめて鏡にぶつぶつ言って気が付かなかったのは朋葉だろ?」

伸ばされた手が、私の腕をつかみ椅子から立ち上がらせると背後からぎゅっと私のことを抱き締めた。

「朋葉、こんな大きな結婚式になってすまない。
ばあちゃんが勝手に押し進めてごめんな。

それから…ドレス似合ってる。

綺麗だ、朋葉。

ばあちゃん俺のことのけ者にするからやっとドレス姿が見れた」

迫田さんの甘い囁きにうるさいくらいに心臓が騒ぎ出す。

「すごく綺麗だ。世界で一番可愛いよ。

さぁ、俺がとびっきりの魔法をかけてやる」


耳元に寄せられた唇が、一言ずつ区切りながらそっと囁く。




「ビビディ、 バビディ、 ブー…。


今から迫田朋葉、俺の愛する可愛い…奥さんだ。
さぁ、王子様と入場だ。

いくぞ、朋葉。


俺たちの結婚式の始まりだ」


微かに頬に触れた唇に、空気にさらされ露出している素肌が朱に染まる。

剥き出しの肩にもさっと唇をおとすと

「しかし…。
よく似合ってるがちょっと肌を出しすぎだ。
くそっ、ばあちゃんドレスも勝手に決めやがって!
こんな可愛い姿の朋葉をみんなの前にだしたくないな」


口を尖らせて、思わず勘違いしてしまうような言葉と態度の迫田さんに私の胸がざわつき出す。



どうして……。



あなたにはずっと好きな人がいるんでしょ?

なんでこの人は私の心を惑わすようなことをするのだろう。


胸が苦しい…。