ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~

「失礼しま……おい…。
休日の朝っぱらから人を呼びつけといて俺は邪魔か?」

開かれた扉には、すらりとした長身のスーツ姿がよく似合う男性が、シルバーの眼鏡にふれながら私達に冷ややかな視線を向けていた。

「あぁ相楽、なんだよ思ったより早かったな」

「お前っっ!
今すぐ来てくれって半べそかいて泣きついてきたから飛び起きてすっとんできたんだろーが!
チッ、なんだよ。うまいことやってんじゃねーか。
帰る」 

踵を返した相楽さんを私から離れた迫田さんは立ち上がって呼び止めた。

「おい、待てって相楽。
小谷さんがさっき、自ら快諾してくれたから用意してもらった書類は不要になったが、相楽には彼女の支度を頼みたい」

「ふーん、自分から快諾ねぇ。
良かったじゃないか大知」

ふんと鼻で笑った相楽さんは、眼鏡の奥の冷ややかな瞳を私に向けてきて、冷たそうなオーラをまとう彼の感情は一切読み取れず、沸騰していた血液がみるみる冷やされ私はその場で凍りついた。

この人、苦手だ。

迫田さんの秘書なわりに、口が悪くて態度がでかい。

「はぁぁ、大知。この女、考えてることが顔にだだもれなんだが本当に大丈夫なのか?

っていうかお前女の趣味悪いな。
こういうのがタイプなのか?色気のかけらもない小娘じゃないか」

つかつかと私の目の前に歩いてきた相楽さんは、腕を組んで冷ややかな目のまま私を見下ろし


「ふん、仕方ないから特別に、そのだだもれな問に答えてやる。俺はこいつら兄弟とは幼馴染で、兄貴の親友でもあり大知より俺のほうが年上だ。

仕事上では大知は俺の上司だが、プライベートはただの幼馴染で親友の弟だ。

だから俺より年下のアンタに敬語を使う必要もない。まぁもっとも短い付き合いだろうから、アンタに気を使って好かれる必要もなければ優しく接する必要もないよな?。
今の俺を苦手で嫌いななままでかまわない。俺はそれで結構だ」