「……」
別れ話を切り出した手前、それ以上はなにも言うことができなくて。
悲しげな姿を見たら押し殺した気持ちとか、見て見ぬふりした気持ちとか。
いろんなものがぐちゃぐちゃになって、息苦しくて。
「じゃ、じゃあ……わたし、帰るね……」
「……」
沈黙に耐えきれなくて、漣くんをすり抜けてカバンのほうへ行こうとしたとき。
「海凪」
「えっ」
ぎゅっと手首を掴まれて、わたしの体は瞬く間に元の位置に。
「え、えーと……漣、くん?」
わけが分からなくてふっと顔を上げれば。
「それで俺が、納得すると思う?」
「え……」
体がぶるっとするくらい低い声が耳元で聞こえて。
「な、なにしてるの……?」
固まるわたしからスっと離れた漣くんは。
「見ての通りだけど?」
わたしのよりかかる窓はもちろん、すべてのカーテンをシャッと閉めた。
夕方ってこともあって、急に辺りが暗くなる。
「な、なんでカーテンなんて……」
「さあ?なんでだろうね?」
あっ、これは……
にこりと微笑むその表情に、タラりと冷や汗が背中を伝って。
「っ!!」
慌ててドアへと走って出ようとしたのに。



