「っ……」
見ればわたしのすぐ後ろ。
背中がぶつかりそうな距離に彼はいた。
「え、どうして漣くんが?」
「向坂さんと仲良かったっけ?」
クラス中の女の子がわたしを見ている。
そりゃそうだ。
だって教室での立ち位置じゃ、漣くんとわたしはライバル同士で目も合わせないほど仲が悪いって有名だから。
「なに?漣」
すずちゃんもびっくりしたみたいだけれど、中学が同じこともあり普通に話しかけた。
「向坂。先生が呼んでたよ」
「え?」
なにを考えているのか分からないほど無表情。
クールで冷ややかな目が見下ろしてくる。
「手伝ってほしいことがあるから、職員室に来てくれって」
「わ、分かった」



