『恋愛禁止』
今どき珍しいと思うけれど、それならそれでいいんじゃないかって思う。
めちゃくちゃ彼氏がほしいっ!!
ってわけでもないし、すずちゃんっていう大好きな友達もいる。
現状に特別不満はない。
先生にバレないように、ゆっくり窓側のあの人に視線を送る。
退学処分、か……。
ぼそっと心の中でつぶやいた時。
えっ!?
ハッとして慌てて前を向く。
「海凪、どうかした?」
「な、なんでもないっ」
不自然な様子のわたしに後ろの席のすずちゃんがこそっと声をかけてきた。
な、なんでこっち見てるの?
高鳴る心臓を落ちつかせるように、ぎゅっとペンを握る。
落ちつけ、落ちつけ……
意識しないようにって分かってるのに、顔が熱くなるのが分かる。
こっち見ないで……
そう思うのに、意識すればするほどビシバシ視線を感じることに気づく自分がいる。
恥ずかしいから見ないでって、後で伝えよう……
そう心に決めて、それからはノートをとることに専念した。



