「海凪ー」
「なっ、なんですか」
甘えたようなふわふわと優しい声。
だめ。
思考も神経もぜんぶ持っていかれそう。
体の中に一気に熱がこもる感じがして、回した手にぎゅっと力をこめる。
「やっぱ俺、だめだわ」
それは……
「……頭が?」
「ケンカ売ってる?」
「ええっと……」
やばいっ、答え方まちがえた!
「これ以上のこと、してほしい?」
ひええええ!!
「ち、違うよ!
冗談だよ、冗談!」
声だけでも分かる、不機嫌なオーラ。
もちろん言えるはずはないけれど、実はあながち嘘じゃなかったり……
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