「誰かに見られでもしたら……!
と、とにかく東屋に……」
「ならこのまま歩いて」
「はっ?」
「だから、このまま」
「漣くんっ!」
「早く離れたいんでしょ?」
「………」
はぁ……
ため息をついて仕方なく、背中に漣くんがいるという謎の状態のまま東屋に。
「はい、着いたよ」
あれ、意外とあっさり離れてくれるんだ?
さっきはあんなに渋ってたのに……
と思ったら。
「海凪」
「えっ」
するりと手を握られて目の前に座った漣くんに引き寄せられる。
「離してくれる約束じゃ……」
「俺、そんなの一言も言ってないよ?」
「なっ!?」
フッと口角をあげると、立ったままのわたしを見上げてくる。
「ぎゅーっとさせて」
!!
「だめ。逃げるの禁止」
身を引こうとすれば、腰をグッと引き寄せられる。
「ちかいよ……っ」
鼻がぶつかりそうな距離で、いじわるに微笑む漣くん。
ううっ、めちゃくちゃ目合わせようとしてくる……!



