「ど、どうしてここに……それに女の子たちは……?」
赤くならないようにと何度も自分に言い聞かせる。
「だって、やっとこっち見てくれたと思ってめちゃくちゃ嬉しかったのに、どっか行っちゃうし」
「そ、それは……」
「他の女子?どーでもいいよ。
俺が女の子と思ってるのは海凪一人だけ」
「ま、また海凪って言った……!」
「だって彼女とふたりきりなのに、名字よびなんて距離感じる」
「ここ学校だからっ」
「知ってる。
でも俺はよびたい」
もうだめだ。
漣くんの言葉すべてが毒みたいに頭をおかしくさせる。
優しく笑う表情も、声も、視線も。
どれもとびきり甘すぎて。
「さっ、漣くんっ」
「どーしたの、海凪」
「っ、今日の放課後行くの遅れるから……」



