「海凪。今の……なに?」
「あっ、えっと……」
ぎゅっと絡まった指に力がこもる。
さすがに校内や高校近くでは手はつなげないけれど、無事テストも終わって、最近は学校を離れてからは手をつないで帰っている。
「言いたくない、です……」
ああ、だめ。
ぜったい顔、赤くなってる……。
「へぇ?ふぅん?
そんなこと言っちゃうんだ?」
途端に七流くんの目がきゅっと細められて。
「行こっか」
「えっ、ど、どこに……?」
「ん?
海凪がいっぱい声出せるところ」
「そ、それは……カラオケってことで、まちがいないよね?」
「カラオケかー……まあ、あそこも防音だし、そこでもいっか」
この笑顔は……。
めったに見ないからわかる。
変なスイッチ入っちゃってるときのやつだ。
でも……。
口ではそう言うけれど、七流くんはぜったいわたしのペースに合わせてくれるから。



