「ふたりは付き合うってなって、すぐに先生に言いにいったらしい。校則を破るのは分かっているけど、成績は絶対に落とさないと約束するから、認めてほしいって」
「ええっ!?」
でもふたりとも、そんなこと一言も教えてくれなかった。
「実際、そういった直面にならないと、人って本音が出ないから。さっき海凪が言ってくれたのも、そうでしょ?」
「あ……」
そっか、だから。
わたしの覚悟を聞くために、みんな黙ってたんだ。
「俺は元々おじさんには、海凪と付き合い始めたその日に言ったよ。成績は落とさないからって」
「ええっ!?」
「いやー、びっくりしたよね。
まさかあの、無愛想クール女嫌いでトリプルパンチな七流に、そこまでして付き合いたい子ができたってことに驚いたよ」
「トリプルパンチは余計」
「じゃ、じゃあ、わたしたちが職員室で見たのって……」
「それは俺も気になってた」
どうやらこの話は七流くんも知らなかった様子。
「ああ、あれは男のほうが無理やり女の子を襲ったみたいでね。それで退学の話も出てたんだ」
「なるほど……」
「ことを大きくしたくないからって男子生徒のほうの親が退学でって、申し出たんだけど、本人が納得してくれなくてね。あの場には私もいたし、その男子生徒の親御さんもいたよ」
そう、だったんだ……。



