「で、でも校則でそう決まってますよね……?それに、実際に退学した人、この目で見て……」
前に漣くんと職員室にいたとき。
男の人が、
「ただ抱き合ってただけで退学だって!?」って言って。
「ご、ごめんなさい……っ!」
って、震えたような女の人の声も聞こえた。
それに八雲先生も何回か退学者が出たって言って……。
「そう言うように、俺や上の人間が決めたんだ」
「ど、どうして、そんなことを……」
「勉強に集中させるため、だね」
それから理事長は話してくれた。
「私は元々教育委員会のほうで仕事をしてたんだけど、東宮の先生たちから相談を受けててね。進学校で生徒たちにはなるべく上を目指してほしいから、恋愛などはあまりしてほしくないって」
「実際それが原因で成績を落とした生徒が何人もいて、困ってると。一応表面上、校則でってことになってるけど、さすがに退学ってなれば、勉強に集中する生徒も増えると思って」
「実際成績はグンと伸びたしね」
じゃあ、先生たちは敢えて「退学者が出た」って言うことで、「遠回しに勉強するように」って伝えてるってこと……?
「まあ、一応校則として決まってるから、もしそういう生徒がいたら、一応話は聞いて、今後はどうするのかを聞いてる。さすが進学校だけあって真面目な生徒が多いね。成績は落とさないし、勉強と両立するので、認めてくださいって子、ばかりだから」
「ちなみにだけど、岬と小山もそうだよ」
「えっ!?」
すると、ずっと黙っていた七流くんが口を開いた。



