「海凪、なにするー?
あたしさ、海凪に聞きたいところ、いくつかあって……」
「すずちゃん……」
「ん?」
「ちょっと自習の時間、席、外すね」
「え……?」
視界が涙で歪んで、まともにすずちゃんの顔が見られない。
「だから、江川くんに、教えてもらって」
「あっ、ちょっ、海凪っ!?」
呼び止める声を無視して、走って教室を出る。
ごめんね、すずちゃん。
もっとすずちゃんと一緒に勉強したり、遊んだりしたかった。
4人でカラオケ、行きたかった……。
八雲先生のメモを見たとき。
ああ、やっぱりこの学校にはいられなくなるんだなって思ったら。
もう、何も言うことができなくて。
職員室までの道をただひたすら歩くしかなかった。



