「なんか向坂、勉強疲れか、ふらっとしちゃったみたいで」 バックンバックン鳴る心臓の音が聞こえないように。 息が乱れていることを気づかれないように。 「え、まじで? 大丈夫なん?」 「いや、あんまり大丈夫じゃないかも。それで悪いんだけどさ、小山にここに向坂の荷物取ってくるように伝えてくれない?」 「わ、わかった」 慌てた足音が遠ざかっていく。 今の声ってもしかして、さっきわたしに距離を詰めてきた、あの男子……? 「ほい、お待たせ」 「わるい、小山」