やっぱり別人だよね?
「あーもうっ、じれったい」
髪をぐしゃっとして、顔をしかめた漣くんは。
「俺がいいって言ってんだから、いーの」
立ち上がってスタスタと早足で目の前にきたと思ったら。
「もっとそばにきてよ」
手を掴まれて、気づけば隣に座らされた。
「さ、漣くん」
「ん?」
「手、はなして……っ」
「むり。
したら、絶対逃げるだろ?」
スっと目を細められては言葉に詰まるしかない。
「さっ、漣くん」
「なに?」
「キャラ違くないですか」
「うん。
向坂がいるからね」
「えっ」
もうなにがなんだか分からなくて。
この人は漣くんなのか、別人なのか。
なんでここにいて、なんでわたしの隣がどうのこうのって言ってて。
なんで……
「向坂」
「っ……」
「付き合ってるやつ、いる?」
鼻がぶつかりそうなくらい、近いの……っ



