閉じていた唇に熱いものが侵入してくる。


「んんっ……ふっ、ぁ……」


「ん、いいこ。
そのまま、もっと舌出せる?」


「は……、やぁ……」


「っ、かわいすぎ」


唇がくっついたまま囁かれて、また塞がれる。


「すきだよ。
すげえ好き。かわいい、海凪」


「っ……、はぁっ、」


心臓の音さえ気にならないほど、聞こえる水音と自分の声が耳を支配して。

ジンっとお腹の奥が疼いた気がした。


「もっ、や、だ……っ」


感じたことのない甘い感覚とはずかしさに、
逃げるように唇を離して、両耳を塞ぐ。


「っ、かわいすぎんだけど。
手、外して?」


被せるようにして重ねられた手と、ふれるだけの軽いキス。
なんとか聞こえる優しい声。

でも、外したらまた聞こえちゃうから。


「や、だ……っ」


首を横に振って、もうおわりにしてほしいとうったえる。


「……そう。
分かった」


そう、漣くんは言ったはずだった。


「これでも、そのままでいられる?」