『漣くん……!』
声には出さず、口をパクパクさせて彼を睨む。
だって、ペンを持ってない左手に漣くんの手が重ねってきたから。
「っ……」
ビクッとしたら、ぎゅうっと握られた。
「海凪?どうかした?」
「あっ、いや、べつに……」
たまたま顔を上げたすずちゃんと目が合ってしまった。
なのに、漣くんはこの状況を楽しむように。
「向坂、なんか顔赤くない?」
今度は指を絡められて、甲をすりすりとなでられた。
「あ、赤くないです……」
あっ……!
そう?とまたノートに向き直ったすずちゃんを確認して、ちらりと見上げれば。
『また敬語になってる。
か、わ、い、い』
口元に人差し指を当てて、意地悪に微笑む。
ううっ、はずかしい……。
「向坂……」
その声に斜め前を見つめるわたし。
ば、バレてる……。
江川くんは気づいたみたいで、憐れみの目を向けてきた。



