悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。



キーンコーンカーンコーン。


「あ、チャイム鳴っちゃった」


「……江川、勉強会いいよ」


「え、ほんと?
めちゃくちゃ嬉しい」


ほんのり顔を赤くしたすずちゃんと、その姿を見て微笑む江川くん。


教室へと歩き出したふたりの後ろを邪魔しないようにとついていこうとして。


「漣くん……手、離して」


なぜか離そうとしてくれない。


「まさか、彼氏をそういう風に言ってたとは」


めちゃくちゃ不機嫌そう……。


だって、すずちゃんやクラスメイトの前ではそう振る舞うしかなかった。

とにかく漣くんと接点がないことをアピールしたくて、ライバル同士だからって印象づけたくて。


元々苦手な存在だったわけだし。


でも、今は……。


「嫌い、じゃない……」


「え?」


「少なくとも……というか、絶対。
漣くんのことは嫌いじゃないって言える」


好きかどうかはまだわからないけど……。


「はー……っ」


途端にため息が聞こえて、手が離れる。


「……海凪はさ、ほんっと俺を喜ばせるのがうまいよね。天使?うん、天使だ」


「え?」


少なくとも……というか、絶対。


なんて少しムスッとした顔でわたしと同じ言葉を繰り返す。


「なんで顔、あか……」


「海凪ー!
置いてくよーー!」


「七流も!
早く!」


そう言いかけたところで遠くから呼ばれる。


「あ、わたしたちも早く……」


「海凪」


「え……っ」


「放課後、楽しみにしてる」


すずちゃんたちが前を向いた瞬間を狙って。


「なっ、なにを……こっ、こんなところで……!」

頬を掠めたそれに、一気に顔が熱くなる。


「あとで散々教えてあげる。
俺を喜ばせてくれた分、今度は俺がよくしてあげる番だから」


そして不機嫌だった姿はどこへやら、ニヤリと微笑む。


「ぎゅーして、いっぱいキスしような?
んで、海凪のかわいい姿、いっぱい見せて」


「っ……!」


放課後は勉強するんだよ。

なんて、頭から湯気が出ちゃうほど赤くなったわたしは言えるはずがなかった。