「漣くんっ!
一緒にやらないの?」
「俺は疲れるからいいよ」
「え〜!
漣くんのかっこいい姿、見たいなぁ」
「……それはどーも」
え、漣くんもいるの?
見れば少し離れたところ。
影になっているベンチに彼はいた。
あ、また。
女の子に囲まれてる……。
どうやら江川くんに無理やり引っ張ってこられたようで、めちゃくちゃ不機嫌そう。
周りも囲まれてて、見るからにいやそう……。
「江川も漣みたいだったら良かったのに」
「え?」
「だって、江川は優しいから男女関係なしに分け隔てなく接するから人気があるもん……」
「すずちゃん……」
今もひっきりなしに女の子から声がかかってる。
いや、だよね。
自分の好きな人が女の子に囲まれてるなんて。
「告白は……しない、の?」
「しない……というか、できない。
校則もそうだけど……一番は今の友達の関係が壊れるのが怖いから」
友達の、関係……。
ゆらゆらと切なげに揺れる視線の先には好きな人。
本当は両思いなんだよって。
江川くんもすずちゃんが好きなんだよって言ってあげたいけれど。
言ったところで、きっとそれまでだ。
それをすずちゃんが本気にするわけないし、やっぱり江川くん本人から聞きたいに決まってる。
どうにか、してあげたい。
親友として。
なにより、江川くんは漣くんとの秘密を誰にも言おうとはしないから。
どうにかふたりを進展させたい。
そうは思うけれど……
「どうしたものかなぁ」
「なにが?」
「あ、いや……こっちの話」
どうにかふたりの距離を縮める方法は……。
「あっ!
小山!!」



