「よし。
誰もいない」


とにかく周りに目を光らせていたから、屋上まで来たことに気づかなかった。


江川くんの声に慌てて外に出ようとしたら。


「ちょっと!?」

「はい、離れない」


回された腕に力がこもって、ますます近づくだけ。


「イチャイチャしちゃって」


「ご、ごめんね江川くん……」


「いいよ。
向坂が謝る話じゃないしね」


「岬?」


「で、どこまで話したっけ」


どうやら漣くんの声は聞こえないふり、らしい。

さすがに座れば漣くんも……


「漣くん!?」


「俺のことは気にせず。
続けて?」


そうっ、言われても……!

座った途端、今度は後ろから抱きしめられた。


漣くんの足の間に座ってる状態。


「教室にいるときと違いすぎない?ふたりでいる時の七流って、こんなベタベタなの?」


「べ、ベタベタ……」