「……」
「……」
む、無言……。
当たり前だけど。
いくら漣くんがダンボールを持っているとはいえ……
「あっ、漣くんだ!」
「向坂さんとふたりでいるけど、なにかのお手伝いかな?」
どうしても周りの目が気になって、三歩うしろを歩く。
「……隣、こないの」
「っ、え?」
ずっと黙って歩いてたら、生徒や先生が行き交う渡り廊下を通り過ぎたあとで漣くんが振り向いた。
「隣、きてよ」
「っ、でも、だれかに見られたら……」
「だれもいないから大丈夫。
それとも、俺の隣にくるのはいや?」
「っ、」
トクンと胸が跳ねた。
ずるい。
その聞き方。
敢えて疑問形で、逃げ道つくっておいて。
「俺は少しでも海凪の隣にいたいんだけど」
でも逃がすつもりはないって言ってるみたいに、切ない色の中に獰猛さの見える瞳で、心を揺さぶってくる。
「照れてる?ふっ、かわい」
「っ、は、早くいくよ……!」
その眼差しに耐えきれなくて顔を逸らす。
校内なのに、また海凪って言った……。



