「それでも」


ふるふると頭を振って、だめだと訴える。


「ふーん、なら……」


「っ!?」


「海凪のペースに合わせるの。
あれ、ぜんぶなしで」


またちゅっと唇に熱が落ちてきた。


「なっ、なにを……」


「やっと付き合えたのに、海凪から離れるなんて窒息する。だからさ、」


ピシッと固まるわたしに、漣くんはにっこり笑うだけ。


「テストまでの1ヶ月、海凪は普通に勉強してていいよ。けど俺は、好きなようにやらせてもらう」


「す、好きなようにって……?」


その顔が、不敵に微笑んで見えるのは気のせいじゃない。


「んー、それは海凪次第。
離れないって言うまでは、校内だろうがなんだろうが俺は遠慮しない」


「はっ……」


「本当はめちゃくちゃ甘やかしたかったけど、そうは言ってられないみたいだし。いいかげん離れないって決めたら、いつでも言って」


俺、大歓迎だから。


そしてふっと笑うと、唖然とするわたしの腰をグッと引き寄せて全身が震えるくらい、

あまく、あまく囁いた。


「逃がさないよ、優等生ちゃん」


拝啓、お母さん。

わたし、とんでもない人とお付き合いをしてしまったみたいです……。