「漣くんは、優しいね……」
「は、」
おい、なにか言うことあるだろ俺。
ちらっと向坂を見れば、伏せられた長いまつげが扇情的に震えてるのが見えて。
あーもう……だからやばいんだって。
俺のほうがもっと熱くなりそうで、ふいっと前を向いた。
なんで今日話したばっかの女の子をこんな目で見てんの俺。
ほんとバカだし最低だし。
かわいいしか出てこないし、ぜんぜん頭回ってない。
「その……いつも、嫌そうな顔してるけど……」
「ぶはっ、」
「え?漣くん……?」
「っ、ごめんごめん。
続けて?」
嫌そうって。
まさかそんなどストレートに言われるとは。
しかも本人は無自覚ときた。
ほんっと、おもしろすぎだろ……
女子相手にこんな笑うのとか初だわ。
けどそんなとこも、かわいいとしか思えない俺、まじ重症。
「女の子たちにちゃんと勉強教えてて……」
「うん」
「でも……それは最後まで、じゃなくて」
「うん」
「と、途中まで教えて、そのあと突き放したみたいな言い方を、するのは……女の子たちのためにならないから……です、よね?」
「っ、」
……ほら、もうだめだ。
かんっぜんにハマった。
堕ちた。
俺、この子のこと……。
向坂のこと好きだわ。



