「え……」
ツンッと後ろへ引っ張られる感覚。
「まって……漣、くん……」
「っ!!」
透き通るほど優しい声。
ただ名前を呼ばれただけなのに。
「は……?」
なんだこれなんだこれ。
ドクッと胸の中で音がして。
全身が、燃えそうなほど熱い……。
「あの……ね、」
「なに」
咄嗟に出た声は動揺して、変に低くなってしまって。
向坂がまたビクッとしたけど、頭ん中はそれどころじゃない。
やばい。
めちゃくちゃかわいいんだけど……
ぎゅっと握る手とか、震える声とか。
制服越しで、俺の学ランの裾を握ってるだけなのに。
あーくそ。
この俺が?
うそだろ……
バカの一つ覚えみたいに、顔を赤くさせてうつむくその姿に、“ かわいい ”しか出てこない。



