たまたま教室から出てきた1人の女子とぶつかりそうになった。
今俺の顔見て、うわって言わなかったか……?
一瞬しか見えなかったけど、いやな顔してたっぽいし、なにより今も目が合わない。
確か名前は……
向坂、海凪。
同じクラスだけど話したことはない。
そこらの騒ぐ女とはちがって、いつも勉強してる真面目なタイプ。
低めの身長に、ふわふわとした優しい雰囲気。
男子の間で人気があることは知ってたけど、本人は勉強しか見えてないらしく、告白するやつはほとんどいなかった。
というか、俺のこと嫌ってるっぽい……。
「……ごっ、ごめんなさい……」
なにか用事があってドアを開けたはずなのに、なぜかそそくさと自分の席に戻っていく向坂。
「……」
「……」
教室にはふたりだけだけど、お互い口は開かない。



