目の前にいるこの人は、だれ……?
漣くんでまちがっていないのに、今までの優しさや穏やかさは微塵にも感じられなくて。
あるのはただ、わたしを逃がさないというように、不敵に微笑む整った顔だけ。
「付き合い始めたとき、海凪校則については特になにも言わなかったし、俺も敢えて言わなかったんだけど」
「敢えて……?」
「そう。だって言ったら、絶対断るだろ?」
うそ、でしょ……?
確かにあの時は告白されたことでいっぱいいっぱいで、校則なんか気にする余裕もなかった。
『校則ではだめだけど、付き合ってほしい』
なんて漣くんは言わなかった。
それはぜんぶ、計算だったってこと……?
「やっと……やっと海凪と付き合えた矢先に、今日の昼休みのあれ。まじでふざけんなって思ったよ」
「さ、漣くん……?」
吐き捨てるかのように言う姿は、まるで別人みたいで。
もう、なにがなんだか分からなくて。



