オオカミボーイフレンド

「家まで送る」


「あ……ありがとう……」


歩き出した銀星の背中を追いながら、私は銀星のことを思った。
お昼を食べている時から銀星がずっと黙っていたことが気になっていた私は、何か声をかけようとしたけど、いざとなると言葉が出てこなかった。


木下の件で誤解していたことを謝ろうと思っていたのに、今の銀星は気安く話しかけるのが躊躇われるくらい、寡黙な雰囲気を醸し出している。


お互いに無言のまま電車に乗り、最寄り駅に着いたところで、沈黙に耐えきれなくなった私は羽織っていた上着を銀星に返した。


「もうここでいい。家、すぐそこだから」


早口で言って、銀星の返事を待たずに走り出す。
辺りはもう薄暗く、すれ違う人達は私の服の惨状には気付いていないみたいだった。


しばらく走って、自宅がある住宅街が見えてきたところで、私はふと立ち止まった。
背後に殺気を感じ、自分の勘だけを頼りに拳を突き出すと、誰かの腕に阻まれた。


「さっすがー、王の女だけあって鋭いなぁ」


私の拳を受け止めたのは、パーカーのフードを目深に被った見慣れない男だった。