「つまんねぇな」


案の定、隣で銀星が溜息をつく気配がして、私はこのまま空き教室から追い出されることを期待した。


だけど、突然銀星に身体を抱えあげられ、彼の膝の上に乗せられた私は、驚きと恥ずかしさで気が動転し、思わず叫んでいた。


「ちょ……何すんの!?」


お互いの息がかかるくらい近くに銀星の顔があって、私は顔を背けながら何とかして銀星の腕の中から逃れようと暴れた。
すると、銀星がふっと笑って私の耳元にささやいた。


「つまんねぇ女を演じたって無駄だ。お前が男に免疫ないのはわかってるからな」


私は頬がかあっと熱くなるのを感じて、銀星をぶつために手を振り下ろした。
だが、その手はあっさりと受け止められ、銀星は悔しさに歯噛みする私を涼しげな顔で見る。