また頭を下げる旭君の腕に、そっと手を伸ばした。彼はすぐに顔を上げて、切な気な表情で私を見つめる。

「…傷付いた」

「…ん」

「いっぱい泣いたし、寝れない日だってあった」

「…ごめん」

「旭君は私と別れたいって言い出せないんだろうなって思ってたから、わざと嫌われることもやったりした」

「…」

「旭君はいつもそう。意地悪だし、天邪鬼だし、ちゃんと言葉にしてくれないから分からない」

「…」

「でも」

私は、柔らかい笑顔を作る。

もう謝らなくてもいいよって伝える為に。

「私のこと守ってくれて、ありがとう」

「っ」









その瞬間、腕を強く引かれて。驚く間もなく私は旭君の腕の中にいた。

「ごめん」

「旭君…」

「ごめんひまりっ」

痛いくらいにギュッと抱き締められて、旭君の胸の鼓動が私の耳にダイレクトに伝わってくる。

ドクドクと早鐘を打つようなその音に合わせるみたいに、私の心拍数もどんどん早くなっていく。

「好きだ」

「うん」

「昔からずっと、ずっと好きだった」

「うん…」

「すげぇ傷付けてごめん。泣かせてごめん」

「うん…」

「信じてくれて、ありがと…」

「うん…っ」

「ひまり、大好き」

「私も…大好きだよっ」

ーーひまりちゃん

キラキラの笑顔で私を呼んでくれたあの日から。

ぶっきらぼうだけど、いつも私の側にいてくれて。

私の変化に一番に気が付いて、意地悪な言葉で慰めてくれて。

目を細めながら私を見つめる君に、私はずっとずっと恋をして。

近くて遠いただのお隣さんから、私はようやく一歩踏み出せたんだ。

旭君、大好きだよ。

これからもずっとーー