とうとう鈴は、その胸の内を、学生時代からの2人の親友に訴えた。誰かに聞いてもらいたかった、そうじゃないと、何もかもがめちゃくちゃになりそうだったのだ。


怜奈からは


『なに、お正月早々からバカなこと言ってるの?そんなくだらないこと、考えてる暇があったら、達也さんと初詣にでも行って、頭冷やして来な。』


という返信が来ただけで、まるで相手にされなかった。


一方の梨乃は


『だから言ったじゃない。』


から始まる長文を送って来た。


『私、何度も言ったよね、結婚するのはまだ早いって。旦那さんには、私も何度か会って、優しくていい人だとは思ってるよ。
でも、申し訳ないけど、ああいうタイプって、いずれ物足りなくなって来るんだよ。鈴はもっといろんな人とお付き合いして、男を見る目を養って、それから結婚したって、全然遅くなかったんだよ。っていうか、絶対にそうするべきだったんだよ。早まったよね、本当に。』


(早まった・・・。)


その言葉を見て、鈴は胸をつかれる。


『でもさ、今更それを言っても仕方がないからね。それに旦那さんがいたって、別の男が気になったり、好きになることは仕方がないよ。だって、女なんだから。いい男が身近に現れれば、単純に惚れるよ。その気持ちはどうしようもないことで、誰にも責められないよ。』


と綴られていた文に


『でも私には、達也がいるんだよ。達也と結婚してるんだよ、達也の奥さんなんだよ、私。だったら、そんなのやっぱりダメだよね?』


と鈴は返信する。


『鈴が本当にそう思ってるなら、そこで話はおしまいじゃない。でも、そう思えないから、思おうとしても、その人への想いを振りきれないから困って、私にLINEして来てるんでしょ?』


そう梨乃に決め付けられて、鈴は何も言えなくなる。


『自分の気持ちに素直になることだよ、鈴。自分の幸せを追求する権利は、誰にでもあるんだから。』


更にそう送られて来たLINEに


『ありがとう。』


鈴は、ただ一言、そう返信すると、携帯を閉じた。