冬の花

「えっと、隣の彼は、新しいマネージャー?
木元さん退社したんだっけ?
こないだ撮影で会った時、そう挨拶されたから」

鳴海千歳は、佑樹や私の視線を感じて、
こちらへと歩いて来た。

「鳴海さん。おはようございます。
今日から岡田あかりの新しい担当になりました、北川佑樹です。
まだ入社したばかりでこの世界の事はよく分からない事だらけですが、
今後とも、岡田あかり共々よろしくお願いします」

佑樹はパイプ椅子から立ち上がり、
感じの良い好青年って立ち振舞いで、
私は呆気に取られた。

いつも偉そうな佑樹がこうやって誰かに頭を下げたりするんだ。

「まぁ、またこうやって一緒に仕事する事もこの先あるだろうし、
そんな固くならないで。
今回の撮影もまだまだ続くし、
俺も度々こうやってスタジオ来る事もあると思うから。
もっと気楽に。
こちらこそよろしくお願いします」

鳴海千歳はそう言って、右手を佑樹に差し出していた。

佑樹もその手を握り、握手を交わしている。

私は呆然と、その様子を見ていた。

「あかり、飲み物買って来る。
撮影再開までまだ掛かりそうだから。
コーヒーでいいか?」

「…あ、うん。
佑樹お願い」

そうお願いするが、スタジオを出て行く佑樹の後ろ姿を、
この光景を不思議に思う。

あの佑樹が、私の為に飲み物を買いに行くなんて。

本当に、私のマネージャーなんだな。