「お前この脚本家とヤッてあのドラマの主演貰ったって本当?」
セットチェンジ中、
パイプ椅子に座って台本を読み込む私に横からそう佑樹が言う。
私は台本を閉じ、思わず佑樹を睨む。
「ほら、当時よくネットでそう見たけど。
実際どうなんだよ?」
そうニヤついた顔を見て、私がどう答えても、
絶対に私が鳴海千歳に枕営業したと言うのだろう。
大学も卒業して社会人にもなっても、
こうやって子供っぽい嫌味を言って来る所は昔から変わらない。
だから佑樹とは極力話したくないから、
朝、車で迎えに来て貰った時からずっと台本を読んでいる。
普段なら、スタジオに入ってこうやって台本を広げる事はない。
「噂をすれば影、ってやつ。
イケメン脚本家はヤりたい放題でいいねー」
佑樹のその言葉に、スタジオに鳴海千歳が入って来るのを確認した。
鳴海千歳は脚本家だけど、
撮影現場にもこうやってよく来ている。
特に演技や演出等に口を出して来る事はないけど、
彼が居ると演者やスタッフ達に緊張感が走る。
口は出さないけど、見られてチェックされているのをひしひしと感じるから。
今日の撮影は、終盤の大事なシーン。
だから、見に来たんだろうな。



