「あかりちゃんおはよう」
私の名を呼ぶその声に、とくんと心臓が跳ねる。
「阿部(あべ)さん、おはようございます」
私はその商店街の一番端にある交番の前で、足を止めた。
「けっこう雪積もってるから、滑らないように気をつけて」
阿部さんは、交番から一歩外に出て、私の前に立つ。
私が密かに憧れている彼は、警察官。
いわゆるお巡りさんで、
一年程前にこの村の交番にやって来た。
初めて彼を見た時から、とても素敵な人だな、と思った。
わりと整った顔をしていて、
笑った顔が無邪気な子供みたいで、
彼を見ていて自然とこちらまで笑顔になってしまう。



