冬の花

もう少し話していたいと思うのに、
私達を乗せたパトカーは、私の家の横近くに停まった。


「この家だよね?」


阿部さんは、助手席の方の窓を指差した。


その窓からは、私の住むボロ家が見える。


外の外灯が、私達のいる車内をぼんやりと照らしている。


「…はい。ありがとうございます」


そう言って阿部さんを見ると目が合って、凄く胸がドキドキとした。


もし告白するならば、今が最初で最後のタイミングかもしれない。


こんな風に誰も見ていない場所で二人っきりになれる機会は、もう訪れないかもしれない。


「あ、阿部さん、あの……」


「ん?どうしたの?」


そう優しく訊き返されて、余計に胸がドキドキとして、苦しくて言葉が続かなくなってしまった。


そして、その僅な時間に、考えてしまった。


どうせ告白しても、上手くいかない事は分かっている。


なのに、告白なんかして気まずくなってしまうだけだ。


好きな気持ちを伝えたいこの衝動を、なんとか押し殺す。