冬の花

「あの電話の事、警察になんて話したの?
その辺りも聴取受けたでしょ?」

「わりと、そのままですよ。
鳴海さんからこの刑事が私の周辺を嗅ぎ回っているって聞かされて、
それに腹立って名刺見て電話したって。
もう辞めてください、って」

私が父親を殺して、自首をしようとしているとか、
阿部さんに逮捕して欲しいと話した事は、話さなかった。

「けど、あの舞台挨拶の事件が起こるまで、
ネットでもあの刑事さんの名前は一切出て無かったな。
あの村のお巡りさんの一人と、君が仲良くしていたなんて」

「それは、阿部さんはみんなと仲良かったからですよ。
彼と私は、特別仲良かったわけではないんです」

阿部さんが私以外のあの村の人と話している姿を見る事は、
別に珍しくも無かった。

なんなら、私より仲良くしていた人が居たとも思う。

だから、誰も阿部さんと私の関係が特別な物として見ていなかった。