冬の花

「それは流石に、俺の考え過ぎか」


鳴海千歳はそう言うと、
そうそう、と思い出したように話し出した。

「こないだ、一人の刑事が俺の所に君の事を聞きに来た。
彼は父親殺しのホンボシを君だと確信しているみたい。
君が犯人だと決定的な何かを知っているのか…。
俺だけじゃなく、君の周辺の人間に色々と聞き込んでいるみたいだったけど…」

「その刑事は、どんな人でした?」

鳴海千歳の元に現れた刑事が誰なのか、
私には分かる。

「どんなって…。
人の良さそうな感じ?
何か有ったら連絡くれって名刺貰ったけど」

鳴海千歳は、ソファーに置いている鞄の中から名刺入れを取り出し、
そこから一枚の名刺を私に渡した。

《K県警刑事部捜査一課二係
巡査部長 阿部隆生》
と書かれている。

そして、見覚えのある携帯番号が手書きで書かれている。

阿部さんが私の周辺をそうやって聞き回っているのは、
きっと、私が余計な事を誰かに話していないか確かめる為だろう。

私が犯人だと確信していると断言し、
相手の反応を確かめて。