冬の花

「ネットで見た君の生い立ちから、
俺が簡単にそうじゃないかな、って予測してみた。
ちらほら、父親は君が殺したんじゃないかって書き込みも増えて来てる。
君の前のマネージャーが幼なじみで行方不明なのも、
君が関係あるんじゃないかって」

私は、最近はもうネットを見ないようにしていた。

今、鳴海千歳が言ったような事が書かれ始めていて、
怖くなってしまった…。

「もし、このまま君は逮捕されなくても、
世間にこれだけの疑惑を持たれているから、
この先、女優としてはもう終わりだよ。
今回のこの映画も、そのうち公開中止になるかも。
現に、新しい仕事の話も、最近はないでしょ?
それに、女優としてだけじゃなく、世間に顔を知られている君は、
何処へ行っても殺人犯じゃないかって思われる。
君の人生自体、もう詰んでるよね」

鳴海千歳の言うように、
私はもう終わりなのだと分かっている。

だから、私はそれを受け入れる。

だけど、阿部さんの事だけはなんとしても守りたい。

「けど、俺は君は殺してないと思っている」

その意外な言葉に、知らずに俯いていた顔を上げた。

「…何故、そう思うのですか?」

「君は人を殺したわりに、
心が強くも弱くも見えないから」

そう言われ、そうかもしれないと思った。

私はこの手で人を殺せる強さもなければ、
人を殺してしまう程に心が弱ってしまってないのだろう。

阿部さんは、その強さも弱さもそのどちらも持ち合わせているように、
見えた。

「共犯が居るの?」

思わず、その言葉に息を呑んでしまった。