冬の花

「あのさ、新しい話考えたんだけど聞いてくれない?」

鳴海千歳はソファーに座ると、
私の返事を聞かずにその話を話し出した。

「ある所に、一人の少女が居ました」

「童話ですか?」

私はそんな鳴海千歳の前に立ち、
私を挑発的に見上げるその視線を受け止めるように、目を合わせた。

「その少女は、とても貧乏でした。
ある時、その少女の働き者のお母さんが病気で亡くなると、
その少女の家は、より一層貧しくなりました。
それでも、その少女の父親はたまにしか働かず、
貧しくなるばかり。
学生である少女も働きに出ますが、それでも貧しいまま。
その少女の不幸は貧しいだけではなく、
なんと、その父親から暴力を受けていたのです。
少女はある日、その父親を殺す事にしま…」

「辞めて下さい!
なんなんですか、その話?」

「父親を殺す事に成功しましたが、
それを、向かいに住む男の子に見られてしまいました。
そうとは知らずに殺した父親を森の湖に棄てて、
少女はお金持ちの親戚に引き取られ、幸せに暮らしていました。
そして、少女が女優となり有名になると、
あの向かいに住んでいたあの男の子が、たまたまその少女の前に現れました。
その男の子は目撃した事をネタにその少女を脅し、自分の思い通りにしようと思いましたが、
その少女に殺されてしまいました」


私は逃げ出してしまいたい思いに耐えるように、
手の拳を握りしめた。