私の父親の遺体が発見されたと報道されてから、半月経った今日。

私はあの村があるK県の都市部にいた。

それは、いつか延期になり話が流れたあのドラマ。

再び、その原作小説《最後の涙》の実写化がちょうど一年前に決まった。

それは、以前のようにドラマではなく、映画化になる。

ドラマ化の時と同じように主演は私に話が来て、
脚本も同じく鳴海千歳に。

なんでも、脚本は鳴海千歳がいいと、
原作者である桑田つぐみの希望らしい。

その映画の撮影は順調に終わり、
明日から公開が始まる。

その公開記念の舞台挨拶初日は、K県にある映画館で行われる。

また数日空けて、大阪や高知や福岡、
名古屋、そして、東京へと舞台挨拶で行く。

私は明日から始まるその舞台挨拶の為に、
前日の今日、K県のホテルにいる。

ここからタクシーで駅へと行き、
電車で北に5つ先の駅へと行き、
そこからは歩いて…一時間…いや、二時間。

外は酷い吹雪で、それよりも時間がかかるかもしれない。