佑樹が居なくなった事は、それだけでは終わらなかった。

息子が居なくなったと、
会社がブラックやパワハラがあったんじゃないかと、
佑樹の母親が弁護士を立てて騒ぎ出した。

けど、それは直ぐに静まった。

佑樹の一人で暮らしていた部屋には、
彼の言っていたように、
スマホが電源を切られた状態で置かれていたらしい。

そして、一冊のボロボロのノートが
クローゼットの奥にあり、
そこに書かれていたのは…。

そのノートには、佑樹の父親、母親、兄に対する、憎しみや恨み、
そして、殺意さえも書かれていた。

それに加えて、何度も死にたい、と書かれていた。

それを書かれたのは、
字体から見て、子供の頃、
そして、つい最近と思える内容も。


それを見た佑樹の母親は、
怒りの炎が消え意気消沈とし、自殺を懸念して警察に相談はしたそうだけど、
大した捜査は行われていないらしい。

佑樹本人が自分の意志で居なくなり、
事件性はないから、と。