直球。こーちゃんの血筋は変化球が苦手なんだろうか。
ひょこっと、俺の影からこーちゃんが顔を出した。
ちらっと見ると、俺に目配せしてきた。
?
「彼氏ではない。だがどうなるかはわからない」
………は? 今のセリフ言ったの、俺じゃない。こーちゃんだ。
俺、衝撃で固まってしまった。
「どういうことだ湖月! お前は俺の嫁になるって――」
「伽藍には言われてるけど、私は一度も肯いた覚えはない」
「伽藍、いい加減にしたら?」
「好き勝手に恋愛している姉さんには言われたくない」
こーちゃんと湖蘭さんと男がわーわー騒いでいる。
一瞬、本気で脳内も停止してしまったけど、どうやらこの男が伽藍だということを理解するまでは思考回路が回復した。
そしてこいつ、こーちゃんに結婚を迫っているのか……⁉
「こーちゃん」
内心ドクドクいっているのを悟られないように、にっこり笑顔を張り付けてこーちゃんの手を握った。
「おい! お前何して――」
「朝宮です。えっと……あなたは?」



